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スズメバチハンター

スズメバチハンター☆ひろ
寺部 宏一
玉川大学農学部農学科
昆虫学研究室卒業後、
福島県会津にて、
スズメバチハンターとなる。
詳しいプロフィールはこちら

所在地:福島県喜多方市
電話:0241-38-3033


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ハチに刺されないためには
スズメバチに刺されないためには ―オオスズメバチの警報フェロモンの正体

    ・スズメバチは『 黒 』を攻撃します。黒い衣服などは身に付けにようにする。

    ・頭はよく狙われ、刺された時の被害も大きいので帽子は必ず着用する。

    ・スズメバチの巣を見かけても、むやみに近づかない。

    ・スズメバチが周囲を飛び回り威嚇をしている時は、静かに立ち去る。

    ・蜂は匂いに敏感です。野山へ出かける際は香水などの使用は控えましょう。



    スズメバチは黒いものを狙ってくるといいますが、これは本当です。

    スズメバチの巣を刺激し、巣の近くで黒いカメラを構えていますと、
    写真が全く撮れないほどカメラはびっちりスズメバチで覆われます。
    レンズも覆われていますので、撮っても真っ黒です・・・。

    では何故か?

    スズメバチにとって本当に怖い存在というのは、人間なんです。
    いわゆるスズメバチを食べる存在すなわちスズメバチの敵が
    人間なんです。なのでスズメバチは人間に近づいて欲しくないので、
    わざわざ人間の弱点を狙ってきます。

    では人間の弱点はどこに当たるのか?わかりますか?

    これは頭と目です。

    スズメバチが多く生息するアジアでは、人間の頭も目も色は黒です。
    すなわちアジア人の弱点が黒だから、黒いところを狙って攻撃してくるのです。

    実際に頭を刺されると猛烈な頭痛状態になり、とひどい場合、血管に毒が回り
    ショック症状が出ます。手や足ならまだ我慢ができても、頭はそうはいきません。
    数時間は本当につらい状態になります。

    私も大学時代、モロに頭をキイロスズメバチに刺され、3時間苦しんだ事が
    あります。いくら冷やしても全然痛みが和らぐ事は無く、ひどい頭痛でした。
    なので、とにかく頭は露出しない事が重要です。

    そしてもう一つのターゲットの目ですが、目を差された場合失明します。
    これは毒液中に含まれる『タンパク質分解酵素』のせいです。たまに
    毒液のみを飛ばしてくることもありますが、目に入ってしまうととんでもない事に
    なります。

    目にも十分注意が必要です。

    しかし、やはりターゲットとしては目立つことから、やはり頭は一番狙われます。
    なので、まずスズメバチからの第一発目の攻撃を防ぐ為には帽子があると
    だいぶ違ってきます。私自身、帽子のおかげで刺されずに済んだことがありました。

    ちなみに、スズメバチの毒液中にはいろんな化合物が含まれていますが、
    何とビックリ、とにかく人が痛くて痛くて苦しむように丁度いい具合に
    調合されているんです。だから刺されるとつらいんですね。

    秋の行楽シーズンで、野山などどこかに出かける機会が増えることと思いますが、
    その際はなるべく帽子(白いとなお有効)をかぶっておく事をおすすめいたします。

    またもう1点、スズメバチを含む多くの昆虫達は、目よりも『匂い』の情報を頼りに
    行動します。よく言われる『フェロモン』と言うものです。この『フェロモン』を
    利用し、昆虫達は互いに情報交換しているといわれています。

    ここからはちょっと難しい話になってしまいますが、ご了承下さい。

    『フェロモン』とは、簡単にいうとある特定の化学物質を信号物質とし、
    ある特定の行動を引き起こす化合物などのことを言います。有名なものでは、
    カイコの『性フェロモン』があります。理科の実験などで見たことがある方も
    いらっしゃるかと思います。

    ここでスズメバチの話に戻りますが、やっかいな事にスズメバチなど社会性の
    昆虫達の間には、敵の接近を伝える為の『警報フェロモン』というのがあります。
    この警報フェロモンというのが、揮発性が高く、分子量の低い化学物質がよく
    利用されています。

    実は人が合成して販売しいている商品中にも、この『警報フェロモン』として
    使われている化合物が存在する可能性があるんです。例えばオオスズメバチ、
    これは私が大学時代研究させていただき、見事『警報フェロモン』を見つける
    ことに成功した例なのですが、アルコールの一種が『警報フェロモン』として
    使われていたんです。

    実際には、この『警報フェロモン』というのは単一の化学物質だけとは言い切れません。
    先ほどのアルコールの他に、オオスズメバチの毒液中より検出されたまた別の
    アルコールとエステルと一緒だと、より効果が強まります。


    オオスズメバチの毒液中の揮発性物質分析結果

    これは実際に私がオオスズメバチの毒液中の揮発性物質を分析した結果です。
    ちょっとわかりずらいかもしれませんが、3本の縦の線(ピーク)が見えると思います。

     1つ目のピーク: 2-Pentanol
     2つ目のピーク: 3-Methyl-1-butanol
     3つ目のピーク: 1-Methylbutyl 3-methylbutanoate


    生物検定を行ったところ、1番目の2-Pentanolにもっとも反応がありましたが、
    2、3番目の3-Methyl-1-butanolと1-Methylbutyl 3-methylbutanoateを加えると
    さらに反応が強まる事がわかりました。

    オオスズメバチが敵から攻撃を受けると、警報フェロモンを毒液と一緒に出しますが、
    一つの化合物のみを出すとは考えずらく、複数の化学物質が混ざっている状態だと
    反応が強いというのはとても利にかなっていることだと思います。

    オオスズメバチの警報フェロモンについては、平成15年3月に
    日本応用昆虫学会にて発表しました。

    日本応用動物昆虫学会大会講演要旨
    日本産スズメバチ属の警報フェロモンに関する研究

    またこの内容は科学雑誌『Nature』にて発表されました。
    科学雑誌『Nature』(Vol. 424, No.6949, pp. 637-638, 7 August)

    この『警報フェロモン』と同じものが、もし香水や整髪料などに含まれていたとしたら・・・。
    現在、多くの商品が販売されており、どの商品にどんなものが含まれているのか
    わかりません。

    そこで、もし警報フェロモンと同じ化合物が含まれている商品を利用した人が、
    スズメバチの巣の近くを通りかかったらどうなるか。実際に実験はしていませんが、
    おそらく一部のスズメバチはこれに反応してしまうかもしれません。

    ですから、私個人の意見としては、野山を歩く際にはそういった商品は
    利用しない方が良いのではないかと考えています。


    もちろん全ての商品に含まれているとは限りませんが、逆を言えばどれが危険か
    わからないということです。

    もちろんスズメバチの巣に近づかなければ危険もありませんが、
    十分注意してください。



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